【ひとつの決着】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(19)Aさんのこと

(2023/12/12 22時に記事を復元しました)

みなさま、お疲れ様です。ここから次の見出しまでは2019年11月27日付本ブログ記事で#MeTooを発したAさんと中島によるご報告となります。中島がAさんからの要望をもとに記事草案を書き起こし、Aさんによる確認後にこの記事を公開します。

Aさんによる#MeToo の告発結果について

2019年11月27日付の本ブログ記事「【本編】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(3)加藤治郎さんに対する #MeToo (1) - Starving Stargazer!*1により、未来短歌会の選者である加藤治郎氏(以下敬称略)から、同会会員であった私(A)に対して行われたセクシャルハラスメントについて、#MeTooとして告発を行いました。

長い時間がかかりましたが、未来短歌会から、加藤治郎に対して厳重注意を行った、との連絡がありました。

過日ご相談いただきました件、本日の一般社団法人未来短歌会理事会において、ハラスメント委員長が報告を行い、当該選者に対し厳重に注意をしました。


具体的には、(1)2013年頃から2019年頃にかけて、歌会の前後の茶話会や飲み会で未来の選者に手を握られたり、体を密着させられたりして苦痛を感じたというご相談が元会員からあったこと、(2)その選者に自覚と猛省を求めるとともに、未来短歌会に対し、再発防止に取り組むことを強く希望するというのがこのご相談者の方のご要望であること、および(3)ハラスメント委員会において検討の結果、ご相談者のご要望通り対応することが最善との結論になったことの3点を理事会に報告し、続いて、理事会の席上、当該選者に対し、自らの立場を自覚し行為を猛省するとともに、可能ならば被害者と思われる人物に謝罪をするよう(※ただし、Aさんのお名前は出していません。心当たりのあるお相手の方に対し、速やかに謝罪するようにという勧告です。)、注意および謝罪勧告をしました。また、ハラスメント委員長は、セクシャルハラスメントととれる行動への相談が届いたことをハラスメント委員会として重く受け止めている旨を述べ、未来短歌会の各部門・各チームに対し、ハラスメント防止の取組みの徹底・強化を求めました。


重要な件につき、ご相談くださり、ありがとうございました。


未来短歌会の選者の行動によりご不快な思いをおかけしましたこと、本当に申し訳ありませんでした。

この内容の取り扱いについてAから未来短歌会ハラスメント委員会に問い合わせたところ、

  • 未来短歌会としては、厳重注意を行ったことを公表する予定はない
  • 厳重注意をもって決着としてよいのであれば、Aさんが適当と考える方々に対して情報共有することを妨げるものではない

という回答がありました。

私(A)としては短歌界全体に向けた啓発として厳重注意を行ったことを未来短歌会自ら公開してほしい思いはあります。しかし、私は現在もフラッシュバックや鬱の症状が強く、告発内容(実際は2013~2019年に及びます)についてさらなる聴取を受けるのは耐えがたい状態にあります。私としても複雑な思いは残りますが、「未来短歌会が加藤に厳重注意を行った」という結果をもって私からの告発を終結したいと思います。


中島のブログから公に告発したことで、多くの反響と支援を得て、未来短歌会から加藤へ厳重注意が行われるに至りました。私の#MeTooに関心を持ち、応援してくださった方々全員に対して「情報共有するのが適当」だと考え、今回の記事公開を決断しました。


私の告発を信じ、応援してくださったみなさま、本当にありがとうございました。未来短歌会をはじめとする短歌の世界はもちろん、世界全体でハラスメント被害がなくなることを願ってやみません。

*1:中島記:現在は 【その後】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(18)その後 - Starving Stargazer!に記載した内容証明郵便を加藤から受領する前に、中島が相談した弁護士からの指示により非公開としています

続きを読む

短歌研究社四賞授賞式の、書きたいほうの話と書きたくなかったほうの話

書きたいほう

昨日9月22日、朝から息子が通う保育園の親子遠足に行っていました。遠足から帰宅したら、息子とシャワーをさっと浴びて、着替えて……とは順調に行きませんでした。前日までは息子も授賞式を楽しみにしてくれていたのですが、遠足で疲れたのか「パパと行きたくない、家にいたい、着替えたくない」と訴えていました。息子に申し訳ないな、と思いつつ、今から誰かに預かってもらうわけにもいかないので、なだめて、ブラジルの友人にもらったチョコを食べてもらって、無理やり着替えさせえて、タクシーに乗ってもらって授賞式の会場へ向かいました。
息子は高いビルの階数を外から数えるのが好きで、講談社の道向い側でタクシーを降りて「あれが会場なんだよ」って伝えるとビルの階数を一つずつ数えていました。数えたとおりの26階の会場に到着したのは、受賞者・選考委員の指定集合時間から30分遅れてのことでした。

元々遠足で疲れていた息子は着いてすぐから帰りたがっていました。ほかの受賞者の方々にもなかなかご挨拶できないまま、一般ご来場者の最後列に陣取って、iPadでゲームをさせたり、前日に鞄に突っ込んでいた「てれびくん」(よりにもよって小学館刊)を読ませたりしていました。周囲の方にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。授賞式がはじまってからも、会場には人がゆっくりと増えてゆき、懐かしい顔ぶれだけでなく、初めましての方も多くみられたのもうれしく思いました。
18時半ごろに現代短歌評論賞の番が回ってきて、わたしもスピーチをさせてもらいました。事前に作っていた原稿はこういうものでした。

この度は栄えある第四一回現代短歌評論賞を賜ることとなり誠にありがとうございます。前回応募時に最も意識していた菱川善夫と、わたしと同じ出身地である上田三四二と同じ論題に挑戦できたことを幸運に思います。
生成AIという直近のトピックを主題とする拙論を選んでくださった選考委員のご決断に深く感謝いたします。今回の受賞は家族と、拙論を形成する、ここにいらっしゃる坂井修一さんと、ここにいらっしゃらない篠弘さん、そして、わたしの学生としての指導教官である岡田猛先生や研究室の方々なくしてはありえないものでした。また、様々な数多くのハラスメントが起こるなかでなお私と付き合ってくださる多くの仲間の、温かい友情にもあらためて御礼申し上げます。
高校生で短歌をはじめて二八年になりますが、今回現代短歌評論賞をいただいたことで、ようやくスタート地点に立てた思いです。私の短歌作品はまだまだ拙いものだと思います。今後、論作ともに伸びしろがあるものと受け止め、〈二十一世紀の前衛短歌〉の実現に向けてさらに研鑽を重ねてまいりたいと思います。また、短歌におけるハラスメントを少しでも減らし、少しでも多くの人が安心して短歌を楽しみ、学べるよう微力ながらも力を尽くしたいと思います。
今後も、忌憚のないご批評・ご批判を賜りたくよろしくお願いいたします。改めて、現代短歌評論賞を与えてくださり誠にありがとうございました。

その後、祝賀会で色んな方とお話しさせてもらい(今になって、あの人とご挨拶しそびれたな、と思う方がとても多いのですが……)、未来短歌会から花束をいただき、二次会にもお邪魔しておりました。
自分が賞や花束をいただいて、また多くの歌友と時間をともにできるということは本当に得難い幸せでした。ご一緒いただいたみなさま、ありがとうございました!

(花瓶が自宅にないので、コップに生けて飾ります!)

書きたくないほう

(わたしも積極的に書きたいことではないので、読みたくない方のために切り分けておきます)

続きを読む

【その後】加藤治郎さん、あなたは文章が読めない(18)その後

ご無沙汰しております。2019年11月26日~12月27日までの間に標記シリーズを掲載いたしました。シリーズとしては一旦終了したのですが、その後の出来事を簡単に報告・情報共有をいたします(以下、敬称略)。

yukashima.hatenablog.com
yukashima.hatenablog.com

続きを読む

第41回現代短歌評論賞「〈前衛〉と実作 ――生成AI時代に、人が短歌をつくること」

昨日午後に短歌研究社の旧Twitterやウェブサイトにおいて、第41回現代短歌評論賞の結果が発表されました。おかげさまで、拙稿「〈前衛〉と実作 ――生成AI時代に、人が短歌をつくること」が受賞することとなりました。

www.tankakenkyu.co.jp

17歳で短歌をはじめて28年、ようやく公式戦で1勝目を挙げられた心地です。昨晩のツイート
x.com
とも重なるのですが、現代短歌評論賞の前身となる第1回「新人評論」の受賞者の一人である上田三四二と私は同じ兵庫県小野市出身です。上田三四二の生誕100年にあたる2023年に、その第1回「新人評論」と同じ「〈現代短歌の当面する問題〉に関し論題自由」で賞を得られたことは、兵庫・東播という地区に馴染めなかった私にとってすら、どこか不思議な喜びがあります。
所属している未来短歌会にとっても、(おそらく)秋村功以来、現行の評論賞になってからは初の現代短歌評論賞受賞者第3回「新人評論」の秋村功、第28回現代短歌評論賞の松井多絵子に続く3人目の受賞者*1になれたことをうれしくおもいます。
2018年の落選以来2回目の応募*2で受賞できたのも幸運でした。
yukashima.hatenablog.com


評論賞への応募時に提出した評論要旨は以下の通りです。

本稿はChatGPTをはじめとする生成AIが短歌を出力できるようになることを〈現代短歌の当面する問題〉と捉え、今後も人が短歌をつくることの意義を論ずる。具体的には、坂井修一のChatGPTと短歌をめぐる発言を主軸に検討する。さらに、近年の創造性研究をもとに人が短歌を実作することの重要性を再確認する。最終的に、篠弘が『現代短歌史Ⅱ』に記した二十世紀の前衛短歌の特徴と、それを踏まえた実作が、生成AIのある現代に改めて重要視されるべきであると主張する。

このような内容ですから、評論として〈息が長い〉ものではないかもしれません。「短歌研究」2023年10月号に本文が掲載され、皆様から様々な批評・批判をいただけることを楽しみにしております。

*1:修正しました。松井さん、申し訳ございません……

*2:前回応募したものは構想10年・執筆3か月をかけました。今回は構想3か月・執筆3週間でした。そういうものなんでしょうね

文学フリマの出店時に電子決済(SQUARE)を導入しようとして失敗した

歌集2冊を刊行する機会ということもあって、2022年11月20日文学フリマ東京35に出店することにしていた。――というより、実際のところは「歌集の刊行準備をのんびり進めていたものの、いつまで経っても私が諸々の作業(特に校正が苦手)を後回しにしてしまうので、〈文フリ東京35に出店することを決め、そこに間に合うように諸々の手配を進めることにした〉」。箸2種類の在庫も抱えたままだったし。

ところが、文フリの申込後に、家庭の都合で子どもも連れて行くことになった。「お店屋さんごっこをしにいこう!」と口説いて連れて行くことにしたのだけれど、お釣り用の現金や売上をたくさん持ち歩くのは不安が大きい。子どもも「現金を扱う」ということにはかなりビビっている。そこで、現金を最小限に抑えるために電子決済の導入を検討し始めた。
文フリのFAQでは「当該サービス(PayPay・楽天ペイ・Pixiv Pay・Square など)の利用規約内であり、売り手と買い手が同意の上で決済を行うのは問題ありません。」とある。
bunfree.net

QRコード決済時に有力なPayPayが使えれば最低限なんとかなるかなーと思っていたが、PayPayの利用規約やFAQを読むと、「物品の購入」に際して「個人間送金」の仕組みを使うのはダメだということがわかった。

そこで、いくつかの同人誌即売会での電子決済導入事例を調べることにした。最初に考えていたのは、以前どこかの記事で見かけたクロネコヤマトのマルチ決済端末レンタルサービスだったがどうも今は主流ではなさそうだ。
business.kuronekoyamato.co.jp
SQUARE決済かSTORES決済かで悩み、お世話になっている個人事業者の方が使っている前者にした。端末が安い、というのもあった――が、なんとSTORES決済の端末無料キャンペーン中であることを本記事作成中に知った……これを知っていたらSTORESにしたんじゃないかな……
campaign.coiney.com

それはさておき、11月初旬の休日にSQUARE決済の申し込みをした。信用調査としてJCBの審査があり、それを申請しないとPayPayや交通系ICが使えるようにならないらしい。並行して、わたしの売上振込先銀行の審査に3営業日ほどかかるという。

申込の1〜2営業日後に「JCBから店舗の実態を知りたい。店舗外観や陳列状況、取扱商品や名刺などを送ってほしい」という連絡がSQUARE決済を通じてあった。1日で完結するイベントである文フリ、それも4年ぶりの参加なので店舗外観などはない。取扱商品(歌集やグッズ)の説明、短歌用の名刺の写真、文フリのオンラインカタログのURLなど、伝えられる限りの情報を伝えてお沙汰を待つ。

更に2営業日ほど後に、「クレジットカードの審査が通りました」との通知が来た!ああよかった、とおもったら、交通系やPayPayなどはそこから更に5~6営業日かかるらしい。本番まで2週間あるし大丈夫だろうな、と思っていた……

ら、結局、文学フリマ当日まで交通系ICカードもPayPayも認可が降りなかった。QAなどを見てみると「クレジットカードの審査完了から1か月以上経つのに交通系ICカードなどが認可されない」などというものもあり、審査が全般的に遅れている模様。文学フリマ当日はSQUARE決済の機器を持って行きはしたものの、誰もクレジットカード決済を利用したいという方はおられず、(少なくとも今回の文学フリマでは)無用の長物と化したのでした……。

【教訓】電子決済を導入するなら、慎重な検討・早めの申込みが不可欠。

2018年頃から総合誌等での短歌連作の掲載情報を書いていなかった……?!

過去4年くらいの総合誌・同人誌・別人誌で、以下のような連作を掲載していただきました

  • マンションの前、20mほどの:「ふは」
  • 安全だが安心でない:「扉のない鍵」第2号
  • 歯車と大根:「京大短歌」第26号
  • 準急:「フワクタンカ78」
  • 天井を向く:「短歌往来」2020年4月号
  • 雄弁な不安:角川「短歌」2020年7月号
  • 群青劇:「短歌往来」2021年6月号
  • 陰膳:「京大短歌」第27号
  • 性愚説者の独白:「短歌往来」2022年1月号
  • 合法ライラック:角川「短歌」2022年5月号

「IQが多少高い」のは「IQが多少高い」という以外の意味を(たぶん)もたない

いまの私は心理学を学ぶ博士課程の学生でもある。心理学を学びはじめてもうすぐ1年が経過しようとしている。「マンガでわかる統計学*1やいろんな統計学の入門書を読んではみるが、自分の研究にどう活かせるのか/活かさないといけないのかがピンと来ていない。自分のために自分でやってみないと何も身につかない性分なのだと思う。

それでも、この春には調査や実験をしはじめないと1本目の論文が書けない。1本目の論文を書き始めないと指導教官の退官に間に合わない。どんなに拙くても、いまできることを考えないといけない。とはいえ、学部生や修士課程で心理学を学んでいない私は、調査や実験を受けたことがない。論文を読んで「ふむふむ、こういうことを聞いたのか~それを分析するとこんなことがいえるのか~~」と思っても、それが参加者にとってはどれくらいのボリュームを感じる内容なのかが分からない。

そこで思った。心理学のテストをちゃんと受けてみよう、と。
次に「有名なのはIQテストだな」と思ったので、近場で受けられるIQテストをすぐに申し込んだ。

続きを読む