寡婦、月へ往還す

 一月十三日、歩いて五分ほどの京都国立博物館へ、大レンブラント展を見に行く。ちょうど最終日の、しかも閉館間際だったため、かなり混雑していた。
 私はまず、絵が描けない。鉛筆でのデッサンまでは何とか書けるのだが、どうも色が付けられない。
中学生の時、写生大会なるものがあり、明石まで出向いたにも関わらず、何にも手を付けられなかった。数日後の学校で十人近い友人に全て手伝ってもらって、漸く絵を完成させてもらった。高校生の時には課題を完成させたことさえなかったように思う。
 勿論、鑑賞することも出来無い。レンブラントを見に行こうと思ったのはきっと気まぐれに過ぎないのだろう。それでも感じたことを捻り出せば、絵の中にある光の強さ。
 しかし、どうも私は光が怖い。色が怖い。そこここで独自の色を主張するものが怖い。
下宿に引きこもる生活の理由をここに求めるが、認めてくれる人は少ないようだ。