クリエイターのための言語学/言語哲学入門 メショニック『詩学批判』第1章 詩の認識のために(1)

「クリエイターのための言語学/言語哲学入門」は詩人・言語学者のアンリ・メショニック*1の唯一の邦訳書『詩学批判』*2の紹介からスタートしたいと思います。*3

詩学批判―詩の認識のために

詩学批判―詩の認識のために

大学で学ぶ言語学なら恐らくはありえない順序だろうと思うのですが、私自身が短歌に関わっていて、この「入門」も主な読者が短歌に関わる人であることから考えると、まずは<短歌に関わる人>に宛てた内容に(結果的に)なる事柄を最初に置くべきだと判断します。また、この本の中ではロマン・ヤコブソンが批判・検討対象になっていますが、ヤコブソンを後ほどじっくり取り上げたいと思っているのも最初にこの本を取り上げる一つの判断根拠になっています。


この本は詩や言語そのものについて書かれていますが、当然のことながら短歌にもその他の芸術分野にも応用可能です。「40年前にフランス人が書いたことなんだから、今の日本に適用できるわけないじゃんww」「詩の話なんだから短歌に関係ないってww」なんて思ってる人は、そもそも<何かを創造してる>とも思わないでください。趣味だとしても<全力で>やってる人にとって迷惑です。ちょうど『詩学批判』の冒頭でノヴァーリスのこんな言葉が引かれていますしね。

「哲学なしには詩人は不完全である。――哲学なしには思想家――批評家――もまた不完全である。」(『詩に関する断章』)

ちなみに、この言葉は原注が付いていないため、原著にあたって調べる必要があります。邦訳だと

ノヴァーリス作品集〈3〉夜の讃歌・断章・日記 (ちくま文庫)

ノヴァーリス作品集〈3〉夜の讃歌・断章・日記 (ちくま文庫)

に断章が収められており、類似したフレーズが散見されます。*4

ひとまず、今日は頭出しだけ。この記事に少し追記してから②へ進もうと思います。

*1:1932年生、2009年没。英語のウィキペディアフランス語のウィキペディア

*2:原著名は『Pour la poetique 1』。1970年。

*3:ただ、この本自体の説明は、邦訳書の訳者あとがきに譲ります。

*4:あと、ドイツ語ですが、ノヴァーリスの断章が納められたサイトがありました。時間があればここも確認してみます(が、ドイツ語を読むのに時間が掛かるので便宜上、後回しにします)。