8月14日土曜日。「盤上の敵」を観に行って来ました。17時のソワレ。
2ヴァージョンやる、とのこと。
一つは上島ヴァージョン。出演者は西島千博など、日本のトップダンサーたち。
もう一つはハンブルクの服部有吉が振付・出演。
最後に実はもう一つあるが、大阪公演をご覧になる方もあるだろうから、
それは後しばらくの秘密。
最初に上島ヴァージョン。最初のアンサンブルは格好良いが、その後が全く頂けない。
確かに小説のシーン毎に切り取ってきているのかな、とは思うけれど、
ダンスとしてのバレエでしかなく、背景にある何かを読み込ませる感じではない。
振付と意味が記号的(舞踊の分野で言えば恐らく無反省)に繋がっている。
見終わった後、残りを見ずに帰ろうかと思ったくらい。
それに対して、服部ヴァージョンは圧倒的によかった。
(実は、情熱大陸で彼を見て、観に行こうと思ったのだ。)
勿論、上島Vとの比較優位はあるだろう。
しかし、ノイマイヤー仕込の振付は勿論のこと、
簡素だが効果的な舞台美術への意識が垣間見れる。
踊りは、技術レベルでは荒い気もするが、舞踊者が白人らしい体型であること
(これはとても哀しいことだが、決定的に見えた)に加え、
小柄な服部自身の持つ跳躍力の生かされた振付だったのではないか。
更に評価すべきは、原作小説の更に先に「再生」のモチーフを読み取ったことにあろう。
音楽への意識も、ベース音が前者と比べてよく聞こえた気がしたくらいだ。
問題があるとすれば、服部がダンサーであることだろう。
舞台のうち、観客の立場から見る視点というものが幾分欠けているのではないか、
と思うようなところがあった。如何か。
服部有吉様。
振付に極力専念したほうがいいのでは?踊るのを止めるべきとは思わないけれど。
あれだけ振付けられるなら、もっと他の作品が見たい。