予測変換機能による(コンタクト)インプロヴィゼーションの作り方 Ver.101005

How to use it

I
予測変換機能とは「携帯電話の使用者が最近入力した語、または多くの人が一般的に使用する語を基礎的なデータベースとして、携帯電話に入力された一部の文字から語全体、その語に続く語、または漢字変換候補を予測し、画面上に表示する電子的機能」を指す。
「予測変換機能によるインプロヴィゼーション」は、この予測変換機能を利用し、携帯電話にひらがな1文字または2文字をランダムに入力し、予測された語・変換された語、及びその語に続く語のみを用いて短歌を作る即興的手法である。
この作歌手法を試みるにあたっては、以下の諸点に注意せよ。
i. 初期値(最初に入力するひらがな1文字または2文字)はサイコロなどを使用し、ランダムに決定する
ii. 初期値に引き続いて表示される予測変換の結果から、任意の一語を選択する
iii. 任意の一語の選択結果に引き続いて表示される予測変換の結果から、さらに任意の一語を選択する
iv. 予測変換の結果が表示されなくなる状態、または同一の語句を繰り返し表示する状態になった場合にはそこで中断し、iiから再開する
v. 一定の長さになるまでiiとiiiを繰り返し出来上がった語句を適宜短歌形式に編集する


supplementary note(i): 平常時から携帯電話でメールの送受信を行うことはもちろん、非日常的語句(詩的でも、ナンセンスでもよい)を携帯電話で(メモ機能やメール機能等使用時に)入力しておくこと。
supplementary note(ii): 予測変換の結果から任意の一語を選択する場合、実行者がもっとも「詩的である」または「非日常的である」と判断する語を選択すること。ただし、その後に予測変換の結果が表示されない恐れがある場合にはこの限りでない。
supplementary note(iii): 一定の長さまで出来上がった語句を短歌形式に編集する際、予測変換の結果に現れなかった語を追加してはならない。また、予測変換の結果に現れた語順を変更してはならない。
supplementary note(iv): supplementary note(i)の通り、自作の未発表の短歌を事前に携帯電話に入力していた場合であり、かつ予測変換機能によるインプロヴィゼーションの結果が事前に入力していた自作の未発表の短歌と同一となった場合、これを予測変換機能によるインプロヴィゼーションによって生まれた作品としてもよい。
supplementary note(v): How to use itは今後も改訂される可能性がある。

II
コンタクトインプロヴィゼーションとは、ダンサー(たち)の身体的/物理的接触をすべての動作の基本として即興的に作り上げる、1972年にスティーヴ・パクストンがアメリカで創始したポストモダンダンスの一様式である。これに倣うものとして、「予測変換機能によるコンタクトインプロヴィゼーション」は、複数の携帯電話の予測変換機能を利用して短歌を作る即興的手法である。
この作歌手法を試みるにあたっては、How to use it ?に加えて以下の諸点に注意せよ。
i. 別の人物が所有する、2台以上の携帯電話を用意し、各機間でメールのやり取りができるようにする
ii. 1台の携帯電話で作歌手法「予測変換機能によるインプロヴィゼーション」を行い、出来上がった短歌を別の携帯電話にメールで送る
iii. メールを受信した携帯電話では、元の歌を受けて「予測変換機能によるインプロヴィゼーション」を行い、出来上がった短歌を別の携帯電話にメールで送る
iv. 一定の長さを持つ連作になるまでiiとiiiを繰り返し、出来上がった複数の短歌を適宜連作形式に編集する

supplementary note: 元の歌を受ける方法については、「元の歌にあった一部の語を初期値として使用する」ことを基本とするが、これに限定するものではなく、「連歌的に扱う」「しりとりとして扱う」など自由にしてよい。