oval*3

  楕円とは、平面上のある2定点からの距離の和が
  一定となるような点の集合から作られる曲線である。
コンビニの本棚の裏にこぼれたる少年マガジンのグラビアは笑む
日に焼けている週刊誌の群れのうち一冊は出エジプト記になれ
本棚の裏の雑誌が歌となるにつれて明るむセブン・イレブン


  基準となる2定点を焦点という。
  2つの焦点が近いほど楕円は円に近づき、
  2つの焦点が一致したとき楕円は円になる。
浴室のシャワーヘッドは自らの泡沫を洗いながせずにいる
安物でしわくちゃのワイシャツでさえ発光し出す朝が八月
車内大変混み合いましてオセロなら誰もが黒に変わる心地す
繋がれている掌に流れゆく汗の雫の密度は高いのだろう


  oblaat > oblatus
ささやかな嘘を吐くとき君はいつもコーヒーカップの波紋を見てる
廃園のmerry go round and round and...君を迎えに
オブラートに薬を包み込むようにゴンドラは静かに僕らを運ぶ
Fiat lux!Mehr Licht!と呟いた少女はフィルム・フレームの中


  楕円は円錐曲線のひとつに分類される。
ペルセウス座流星群に願いつつ咲く花ならば声も枯れなむ
街頭の三角コーンを巡る灯を追って行く君に釘を刺せずに
二の腕の焼け跡にこそ現るる断面の白き楕円を思ふ


  overt overture
別れとは或る2定点の距離の差が一定となる双曲線である
戯れにラグビーボールを校庭へ蹴り出したまま行方を知らず


  楕円の形状は離心率eで表現される。
恒星のようなヒトを信じない 床にコンペイトウを散らす夜には
つい、乳と蜜の流れる土地としてパンケーキを作り過ぎてしまった
積み上げた罪に染みつつ断面を流れるバターの熱を思えば



楕円から解き放たれた定点の集合 僕らの世界であった