初出:2004年3月に大阪で開催された「『O脚の膝』を語る会」
■形式面
・1ページに1首、多行分かち書き
・句読点(特に句点。句点を打ったポイントへの意味的響き)
胃からりんご。
りんごの形のままでそう。
肩はずれそう
この目。とれそう 19
たばこ、ひるね、おふろ、カステラ、闇、じっとしていられない、たばこ、たばこ 29
・ひらがなの多用、漢字や漢語の逆説的印象付け (きす≠キス)
過去にだれともあわないでよ
若いきすしないでよ
今 産まれてきてよ 56
・「死ぬる」死ぬの連体形 (君死にたまふことなかれ「死ぬるを人の誉れとは」)
死ぬるまで使い切れないびんせんをもっていたって
ばしょをとるだけ
■内容面
・色彩、情景の美化 (特にむらさき、あか)
うすむらさきずっとみていたらそのようなおんなのひとになれるかもしれない 4
・時間軸の錯綜
そこにいるときすこしさみしそうなとき
めをつむる。あまい。そこにいたとき 3
・性への固着、ファロスの喪失感 (おんな 〜〜〜〜)
としとったひともわかいひともふまじめもまじめもせいきがついたらおとこ 47
・ストーリーの不在
・傍観、心寄せる対象との距離、接触と解離 (読者も傍観)
・身体感覚の客体化と自己の感情への固着