無菌室に行く為の舞踏譜*18

 <「お伽話をしてあげよう。昔々、世界を論理そのものにしようと夢見る若者がいた。…」
 ケインズは死の床にあるヴィトゲンシュタインに言った。>



 鄯.世界はことがら(ルビ=Fall)の全体である。

The world is everything that is in the case, and that is casus belli itself.
(ルビ=送り出した蟲毒は全て返されて均質な無菌室へと逃れる)

A fool follows folklore; the folder filled by oiled foil fold to fall into failure.
(ルビ=塵箱に油塗れでシワクチャの宝を探す愚者に追いつけ!)

 1.21 どのことがらも成立することができ、あるいは成立しないことができる。
 そして、その余のことがらは、すべて同じままである。

R.S.V.P. 45 RPM signifie "45 revolutions per minute". C’est une fac~on.
(ルビ=確変よりも続く 往来の吐瀉物の中では毎分45回、変革)

But its revolution isn't prior to voluntary vomiting of voodoo-votary.
(ルビ=革命とは渦を巻きつつ在る種が反物質に変わる術式)



 <「大変頭のいい彼はその夢を実現した。仕事をやり終えた彼は一歩下がって出来栄えを見た。
 それは美しかった。地平線まで音もなく続く、きらめく果てしない平原のように、
 不完全も不確実なものも無い世界。」>


 鄱.成立していることがら、すなわち事実とは、いくつかの事態の成立にほかならぬ。

Cat is in the case, the fact, is the existence of atomic facts.
(ルビ=未知であり続けねばならない僕はシュレーディンガーの猫と叛乱)

The faction is factice. Ice is made by ions. I cannot watch such the things.
(ルビ=ダルタニャンは三重死に憧れてタンタロスを見殺しに、進む)



 <「賢い若者は自分の創作した世界を見回して、捜索に出かけることにした。
 一歩踏み出した彼は仰向けに倒れた。」>


 鄴.事実の論理的映像(ルビ=logische Bild)が思考(ルビ=Gedanke)である。

The logical picture of the facts is the thought. But that is a piece of pidgin around pickets.
(ルビ=蟲惑されここが怖くて、声色を変えて、急いでクレバスを越え)

A baby often tries to build the tower of Babylon on the Styx with sty.
(ルビ=脊椎を引き摺る鬼に堕胎され、隠棲できない赤子を嘉す)

His father begged to get down a ken; it is a most logical strategy for the baby.
(ルビ=とりかえばや、子の物語を! 代理母アルケースティス或いはレートー)



 <「[摩擦]のことを忘れていたのだ。
 氷はツルツルで起伏がなく、シミ一つなかったが、その上を歩くことはできなかった。」>


 Ⅳ.思考とは意味をもつ命題(ルビ=Satz)のことである。

The thought is the significant proposition, however it is in the replicated position.
(ルビ=僕の手を覗くと出口は…塞がれている 顕微鏡の画をcopy&paste!)

 4.07 声の大きい者が集団の長になってしまうのは世の常である。

The emeritus emendator emerges emphatically, and he says "Do, can to I parts yacht emir yo,yo!"
(ルビ=「滅菌の為に"Mehr Licht"(ルビ=もっと光を)復た呪いを ♪どかぁんと一発、、、やってみよぉよ!」)

 4.114 哲学は思考可能なものを限界づけ、これにより思考不可能なものをも限界づけなければならない。

The more sensitive you are, the more sensible you are, and vice versa.
(ルビ=人牛倶忘! 禁欲の無菌室にこそ常に不在があるということ)

 4.461 たとえば、わたくしは、「いま雨が降っているか、降っていないかの
 いずれか」であることを知っていたとしても、天気について何かを知ることにはならない。

I expect that its railroad will raise my raison de'e^tre over the rainbow.
(ルビ=虹の二次的揺らぎから生乾きの襤褸服を取り出して着てみる)



 <「そこで若者はそこに座り込み、自分のすばらしい創造物を見ながら涙にくれた。」>


 酈.命題は、要素命題の真理函数である。要素命題は自分自身の真理関数である。

An elementary proposition is a truth-function of itself. All pupil lives here.
(ルビ=学童の瞳は輝いて傷痕も無いかのように祭を操る)

 5.6 わたくしの言語の限界は、わたくしの世界の限界を意味する。

Do you hold a farout forum about tetramorphe to fascinate me?
(ルビ=これも死に至る病である 雌雄陥合体(ルビ= gynandromorpho)だけ生き残る?)

 5.621 世界と生とは一である。

My son will live in sad, because of my sin. For he must sound “la” in a desert.
(ルビ=フラジオレットで叫ぶ子の身も不安も死も全てラの音に収斂された)

 5.63 私とはわたくしの世界にほかならぬ。(つまり、小宇宙)

It costs a cosmos to cast away its corruption. Both of them are made by cosine.
(ルビ=「わたくしが堅くし、たくし上げた和紙を托してみても白紙のままね」)

 5.632 主体は世界に属さない。それは世界の限界なのだ。

Vous ne savez pas le sens du va-et-vient; j'y puis e^tre un vain-queur et faire la vexation vecu!
(ルビ=凱旋を迎える者無し 故に「散策者は都市を自分の部屋に仕立てる」)

 5.64 ここにおいて、独我論を徹底すれば、純粋の実在論に合致することがわかる。
 独我論の自我は延長を持たぬ点へと萎縮し、残るものはそれに対応していた実在のみとなる。

Daphne the dandy tastes a candy. When I see it, I have a fun with handy Ghandi solitary.
(ルビ=他者来襲警報発令! 茶壜型サイレンが部屋をモノクロにする)



 <「でも年をとって賢い老人になるにつれ、彼にはわかってきた。
 ザラザラや不確実なものは欠点ではないのだ、と。それらは世界を動かすものなのだ。」>


 酛.真理関数の一般形式は、 [p,ξ,N(ξ)]である。

The general form of the truth-function is: [p, x, N(x)]. This is the genic force of proposition.
(ルビ=エレベーターでπ階へ上がり左手の為のピアノ協奏曲を弾け)

 6.36311 太陽が明日も昇るだろうと言うのは仮説である。
 ということは、太陽が明日も昇るかどうかわれわれは知らないのである、
 仮に百年、36525日太陽が昇ることを確認しても。

My lily never relies on me...because of your marriage or the language of flowers?
(ルビ=百年が過ぎて花からメールが届く「Re:in-carnation」 球根の死から)

 6.4311死は人生の出来事にあらず。人は死を体験せぬ。
 永遠が時間の無限の持続のことではなく、無時間性のことと解されるなら、
 現在のうちに生きる者は、永遠に生きる。
 われわれの生には終わりがない。われわれの視野に限りがないように。

All the gangstars must know panta rhei; all the gamma rays must know gangrene.
(ルビ=「万物は流転する」故、スプライシングテープにビオトープ(ルビ=人工庭園)を描く)

 6.432 世界がいかにあるか、ということは、より高次の存在にとっては、全くどうでもよいことだ。
 神は世界の中には顕れない。
 そしてまた、神(ルビ=かみ)の無いことを知らしめる推進月間がやってくる。

Stubborn aesthetiques is stuffed
(ルビ=                 あかじの錦を無機物が着る)


 6.522 だがしかし表明しえぬものが存在する。それはみずからを示す。それは神秘なものである。

It transpires that we could have been trans-parent. No way out!
(ルビ=空港のトランジットで育てられた子はフロイト原理主義者に成るもの)

 6.54 私を理解する読者は、私の書物を通り抜け、その上に立ち、それを見下ろす高みに達した時、
 ついにその無意味な事を悟るに至る。まさにかかる方便によって、私の書物は解明を行うとする。
 (読者は、言うならば、梯子を登りきったのち、それを投げ捨てなければならない。)
 読者はこの書物を乗り越えなければならない。その時読者は、世界を正しく見るのだ。

A lad, called Alladin, is laicized! (Blamed for singing on a ladder)
(ルビ=アンジュー家にも安住できぬ精霊とヤコブの梯子を登れば、墜落)



 <「ザラザラの地面という[概念]が老人には気に入ったが、そこに住むことは出来なかった。
 それで彼は地面と氷の間で身動きが出来ず、どちらにも安住できなかった。
 それが彼の悲しみのもとだ。」>


 醃.語りえぬものについては、沈黙しなければならない。

Whereof one cannot speak, thereof one must be silent. But t/here is of my will
(ルビ=                               )

 7.001 沈黙の内で語りえぬものと沈黙について思考しなければならない。

In our serenade, I must make an ape set a grenade that is made by lemonade.
(ルビ=レモネードを身体に浴びてから行く 明日、無菌室爆破記念式典)

 7.0016 思考とは歌の形式、及び内容に同時生起する。
そして、それらは常に相対的な位置によってしか決定されない。
I declare that I cannot decimate anything, and that I can receive any deception.
(ルビ=路地裏で作った影絵の中にでもテミスとニュクスを住まわせられる)



 <今、ケインズに言おう。
 「まだ行かねばならないのだ。
 我々は無菌室を、空港のトランジットを、中性子を、通り過ぎてゆくものなのだ」と。>


 醞.quod erat "demons"trandum(≠Q.E.D.)

I would seek a lapis lazuli with lamentation.
(ルビ=ルビよりも瑠璃に塗れたこの書物は投げ捨られてこそ読了である)

The ramified demons and I ramble at random. We realize to be randy.
(ルビ=エピタフが無くとも更に彷徨せよ 欺く神が顕れても尚)