浅田弘幸さんファンのための、自歌自註 -第2回

お待たせしました!「浅田弘幸さんファンのための、自歌自註」の第2回です。
今回は短歌形式の外国語と短歌形式の和文ルビを合わせたタイプの歌について〜〜。楽しんでいただく方法の、一つが音を味わう方法、もう一つが意味を味わう方法だと思います。

今回は音を味わう方法と、そこから意味を想像する方法に触れたいんですが、まず最初に『I'll』の話をします。


例えば第7巻「Shotgun Soul Strip」のようなフレーズ、超かっこいいですよね??フレーズ単体の、サ行から音を導き出すかっこよさや口ずさみやすさはもちろんなんですが、ストーリー上のスピード感、或いは魂をさらけ出してる感じ(Soul Strip)も良く分かる。
こういう「かっこいいタイトルから、内容を想像させる」フレーズの使い方を、マンガの一話のタイトルとしてじゃなくて、短歌として実現したいってのが私の歌の根底にあります。

ベツレヘムに導かれても東方で妻らは餓える天動説者
Staring at the star of Bethlehem, she's a starving stargazer!

歌集の題名、そしてこのブログの題名に用いているフレーズ<starving stargazer>が出てくる歌です。この歌が契機になって、短歌形式の外国語と短歌形式の和文ルビを合わせた様式*1を思いつきました。


まずは英文を、日本人らしくカタカナで(笑)音読してみると

ステアリング アット ザ スター オブ ベツレヘム、シーズ ア スターヴィング スターゲイザー

と、『I'll』第7巻のように、大体の単語の頭にサ行、特に「スター」が3回出てきます。*2
英語の短歌だけれども、ちょっとラップっぽい、あるいはミニマルミュージックっぽい感じがしませんか?そこから少しでも星の瞬きのようなものを感じ取ってくれれば嬉しいのです。


他の例としては、よく引用していただいているこの歌。

  7.001 沈黙の内で語りえぬものと沈黙について思考しなければならない。

レモネードを身体に浴びてから行く 明日、無菌室爆破記念式典
In our serenade, I must make an ape set a grenade that is made by lemonade.

今度は単語の後半で「エイ○」が出てきます。「serenade」=セレナーデ/小夜曲、「make」「made」=作る、「ape」=類人猿、「grenade」=手榴弾、「lemonade」=レモネード。後半に韻を踏む(もっとラップっぽい)やり方で色んなイメージを出しています。


じゃ、この短歌形式の和文とどういう関係にあるのか?ってのを次回(できれば1月中に)書きたいとおもいます。

*1:これを私は「Composition of plural voices」=多声のコンポジション、と呼んでいます

*2:だからこそ、かえって、ベツレヘムが目立つんですが、それはまた次回。