Uni-Phobia*14


 高校2年5月、further along with “you”
隙だらけであった僕にも二人称単数である名前が付いた

 大学3年8月、fragile
座礁した船から逃げて君が白いタオルに残す日焼け後の皮膚

 大学3回生6月、絢爛なる舞踏
酩酊の男介抱する男の髪間にagathaのピアス赤く在る

 2004年11月、Redemption
努力せず得られるものが好きな君から逃げてやる でも、届いて
戯れに謝ることの綾無さは誤りと知る 独り歩める

 高校1年生10月、食堂
朝練の長距離走者の目の端に赤いワンピの少女が並ぶ

 2001年9月、10歳の頃を思い出す
原初なる想像としてイニシャルに似た都市の街灯に焦がれて走る

 小学4年生8月、レッスン「人前で泣く」
屋上をボクらが包む 直走る四駆のように二(あ)駆(し)で踏みしめ
ささやかな願いを叶え流れ星のメインシャフトが捻じれて止まる

 2005年3月、「認めたくないものだな」
星型のピアスを失くした僕たちの喧嘩の最中逆襲の「「じゃあ…」」

 大学4年1月、ポケットの中の戦争
指相撲に人差し指を使われて負けても今を寿ぐ
かつてトゥーランドット(王の娘)だったけど、誰も目覚めてはならぬ朝来る
婚姻は我の変身! 過負荷(overload)でも王(lord)をも超えた御業をなさむ

 大学2年8月、恋愛法
第5条「誠実であれ」違反。罰、大人恋愛免許失効

 大学4年8月、幻肢痛のために
掌紋が解けて僕を巻き取っても仙人掌と手を繋ぎに行こう

 2004年4月、black, black, blank
塔をただ直視して行く 頬を打つ風が眩暈を起こし、惑乱

 高校3年生12月、惑乱
「絆ってハンダのようなものよ、別別の二つを通電させて」
「だからって、溶け合うんじゃない。熱すれば後を引きつつ剥がれてしまう」
「ハンダだって錫と亜鉛の化合物だから離れていくのも必然」

 2004年7月、煙草を吸いながら
置石はなかったのだよ」と知らされて自らの拙速を嘆く婚姻
届さえ燃え 君の名のシャチハタ(つまり即席魔方陣)から
失言の無間奈落に誘われて遠く鬼灯市を求める

 修士2年3月、In a different voice
スローガンといふスローガン抱きかかへ意味問う者へ抗ひたまへ

 修士2年12月、This slogan means "throw guns".It will hit me, it will hit you.
ガクセイの語る雄雄しさ それは我を撃つものそれは君を撃つもの

 2004年6月、査(Vi)証(sa)
蜘蛛の糸をほしがる児さえ芋を買う 我は身体の歯車を買う                     
鼻白む作り笑顔で歯車を覗く 記憶を軸(shaft)で埋める

 2005年1月、やっぱりソロは踊れない
歯車を差し込む場所を間違えてy(二)o(人)u(称)が回り∪(二)→(人)∩(に)

 2004年11月、panic paradise
目指された世界だったから君の言葉の中でボクは生きるよ

 2005年4月、further along
ほおじろの飛び立つ先に歯車を投げて屋上の雨滴を散らす
歯車が無くても頬は疼くから きっともうじきほおずきが生る